北海道のヒグマ地図を作る前に、その地図に混ざった人間の視線を測る。
札幌市の2017〜2025年のヒグマ出没記録1,568件を分析した結果、人口・道路・宅地・地形などの共変量を加えることで 空間分布の説明力は大きく改善しました。一方、それらを考慮した後も残差空間自己相関が残りました。ただし、この 残差をヒグマの実際の分布そのものとは解釈できません。
| 仮説 | 結果 | 補足 |
|---|---|---|
| H1 人間活動変数(人口・道路等)との対応 | 支持 | 疑似R²が約0.01→約0.21に改善。ただし「発見されやすさ」と「ヒグマの人里接近」の混合効果 |
| H2 共変量投入後も空間構造が残る | 支持 | 残差のMoran's Iが8条件すべてで有意(p=0.001)。生態的構造と断定はしない |
| H3 食物資源不作と秋季出没 | 判定不能 | 独立年数n=6(2020-2025)、leave-one-year-outで結果が不安定 |
| H4 春秋二峰性 | 部分的支持 | 季節集中は明確だが、毎年一律の二峰性ではない |
| H5 融雪と春ピーク | 判定不能 | n=9、融雪日の定義・重複処理次第で相関の符号・強さが変わる |
| H6 曜日周期 | 不支持 | 素朴な曜日差(約14%)は月・年を統制するとほぼ全条件で消失 |
詳細は FINDINGS.md を参照。
- 人口・道路・土地利用・地形などの共変量投入で、出没分布の疑似決定係数が約0.01から約0.20〜0.24へ改善した。
- 共変量投入後も、統計的に有意な残差空間自己相関(Moran's I = 0.17〜0.33)が一貫して残った。
- 年間の季節パターンは、季節集中自体は明確だが、毎年一律の春秋二峰性ではなく、年によって単峰・複数山・ 不明瞭が混在する。
- 素朴な曜日差(最大約14%)は、月・年による季節性・年次変動を統制すると、ほぼ全ての種別・重複判定条件で 統計的に有意でなくなった。
- 秋季食物資源の豊凶(H3)・融雪日と春季ピーク(H5)は、いずれも独立標本年数の不足(n=6, n=9)により 判定不能とした。
素朴な出没分布(1kmメッシュ、年別):
共変量投入後の残差空間図(赤=予測より超過、青=予測より不足):
季節性(週別件数、年重ね描き・未平滑化):
原記録と重複候補集約の比較(総件数・重複率):
北海道ヒグマの出没情報から、ヒグマの相対的な出没・空間利用パターンと人間側の観測・通報努力をどこまで分離できるか、 分離した上で秋季食物資源の豊凶・気象と対応づけられるかを検証するプロジェクト。
詳細な研究計画・フェーズ定義は PROJECT_SPEC.md を参照。再現手順は FINDINGS.md 第9節を参照。
- P0: 先行研究サーベイ → SURVEY.md(判定: GO)
- P1: データ取得可能性の確認 → DATA_SOURCES.md(判定: 継続可)
- P2: データ取得・パネル構築(札幌市のみ) → P2_GATE.md(P2d判定: 札幌市高解像度/全道低解像度を別系列化、全道統合は保留)
- P3: 記述統計・観測過程診断(札幌市のみ) → P3_DESCRIPTIVE.md
- P4a: 共変量取得・断層診断・分析仕様固定 → reports/P4A_SUMMARY.md / P4_MODEL_PLAN.md
- P4b: ベースラインモデル・残差診断 → P4_RESULTS.md
- P5: 食物資源・気象との突合 → P5_RESULTS.md
- P6: 最終レポート → FINDINGS.md



